まあ何がどうしたかというと、とりあえず俺は古泉にキスがしたい、という事である。あのどこぞのファッションモデルかと見紛わんばかりの美形とはいえ異性とは間違っても扱う事の出来ないだろう古泉であるがとにかくあの綺麗な面の真ん中のあの唇を奪って味わいたい。何故かと言われてももうとにかくしたいのでしょうがないとしか言いようがないのだ。
 しかしそれを実行に移すには人目だとか同性だとか様々な障害があるのだが俺はそれを避ける方法を知っていた。とりあえず部室に古泉と残った時にキスをして既成事実を作ってハルヒだのなんだの言っておけばいいのである。人目は避けられるし古泉はぐるぐる悩むだろうが結局俺の言う事を聞く事になるだろうと俺は確信していたというわけだ。
 そして事実その通りになった。二人きりになるたびに俺は古泉とキスをくりかえす。最初はためらいがちだった古泉も諦めたか開き直ったか、俺が古泉と二人きりになったとたんその唇にむさぼりついても受け入れるようになった。しかもそのキスの味というんだか感触というんだかこれがまた格別で、ばかみたいに気持ち良くて心地よくてもう止める気も起きないのだ。

 椅子に座っている古泉に抱きつくようにして、古泉の唇の柔らかさを味わう。そっと唇を割ってその歯をなぞると気持ちいい。ぺろぺろと舐めてぐにぐにと押して、ああなんて甘くて気持ちが良いんだろう。本当にこれさえあればもう何もどうでもいい気さえしてくるのだ。
「あなた、どうして僕にこんなことするんですか」
 キスをした後息継ぎを兼ねて唇を離すと、その隙をついて古泉が随分前に一度聞いて適当に丸めこんだっきりの質問を投げかけてきた。俺はよくわからんが気持ち良いからだと素直に返すと、古泉は何でだか顔を赤くする。どうしたんだろう、でもこれで今度は古泉に隙が出来たからいい。
 またもう一度その唇にかみつくと古泉は何か口の中で一音二音発した後すっと目を閉じる。そして俺は満足するまでその唇を味わって、離す。けれど何故か古泉の手はひざに乗り上げた俺の体を支えたままだ。
「…古泉?」
 いつもは顔をそらす古泉が俺をじっと見つめている。いつもの微笑はなりを潜めて気持ち悪いぐらい真剣な瞳が揺れ、キスの余韻か頬がほんのり赤く染まっている。
「…あの」
 したを、いれても、いいですか。
 その色気に感心していた所為か何を言われたのか一瞬分からなかった。そして次の返事にも困った。さてこれはどうするべきだろう。
「気持ち良いかな」
「多分」
 その一言で答えが決まった。
「ならいいぞ」
 途端古泉から唇が重ねられて歯の列から熱を持った柔らかく味があるような何かが差し込まれる。俺のそれが絡め取られてよく分からない音が立って、それもその柔らかさもなにか本当に気持ち良かった。すぐに舌を絡め返すと古泉が更に深くまで入ってきて、もっと気持ち良くなって、また俺は、いや俺たちは互いが満足するまで貪りあう。
 唇を離すと古泉がなんだか嬉しそうにしていてどうしたのかと思ったが、まあキスが出来たのでどうでもいいかなあと思う。特に今回は舌も入れたのだし。
 次もしていいですか。そう聞いてくる古泉に頷くと、軽いキスが返ってくる。それもやっぱり気持ちがよくて、次から最後はこれを要求しよう、そうぼんやり決めていた。



読了ありがとうございました。読んで字のごとく、キスの話です。
 ぶっちゃけとにかく古泉にキスがしたいキョンと、ほほを染めてえろい顔(精一杯えろい顔描写して挫折しました)で舌入れていいですかという古泉がとっても書きたかった。
 …りょうおもいのつもりですが、どうにもそういうものは入れたくなかったので入れませんでした。キョンは自覚なしで古泉が好きです。古泉は生殺しのままになるでしょう、まあそんな話でした。キスの描写は…はい。…これが 限 界 で し た … 。

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