ネクタイ手袋腕時計

 21世紀のものでも見てみましょう、などと言う古泉に頷いたのが馬鹿だった。博物館でデート中というシチュエーションにすっかりだまされて奴がどれほどの変態かということを忘れていたのである。土産物屋でネクタイという首に絡めるのも面倒臭そうなモノを購入した奴は、ここぞと言わんばかりに俺の腕を縛り上げてトイレにご招待である。良いか、古泉。俺はお前の、まあ何というか、恋人であるが、それでも雰囲気とかそういうモノは大事にしたいんだ。だから服の裾から入ってくるその手をどうにかしろ。とりあえず手袋をはずせこら。
 しかしそう言っても効果はなく、俺は肌を這い回るやけに上質な手袋の感触と奴の腕についている銀時計の冷たさに俺は体を震わせるしかないのだった。アーメン。


END

↓反転で後書きです。読んでやろうという方はどうぞ。
rei様のお宅で居残った際に書いたもの。ショートショートは初めてでした。サイトに上げるに当たって題名を『射手座ショート』から変更したところ、ものすごく分かりやすいものに…。
あの絵茶に参加していらっしゃった方々、信江様そしてsinba様にひっそりと捧げます。どうぞ煮るなり焼くなり自由にして下さいませ。…というか、果たして貰って下さるだろうか…。


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write:2009/03/19